44億円のマティス
クリスティーズでオークションにかけられた、故イブ・サンローランのコレクション、そこから見えてくるものとは。
グラフィックデザインを志すと、まあこころざさなくても、好きになるもののひとつがマティスです。あのデッサンの線は、まるで21世紀のいまでも、つい今しがた描かれたのではないかと思えるほどに新鮮でみずみしく、その色調はまるで何時みても今のトレンドカラーを示唆するかのようです。
イブ・サンローランのコレクションとしてクリスティーズで44億円もで落札された1点は、その中でも秀逸なもののひとつです。そのほかにもサンローランの遺品では物議をかもした清朝の円明園から略奪品もありました。清朝末期の1860年に英仏連合が第二次アヘン戦争で北京まで侵攻し破壊と略奪をしたのが円明園です。清朝のもっとも華やかかりしころに乾隆帝が造営した、清朝紫禁城の離宮がその円明園というわけです。いま復元工事中ですね。
さて、ここではそのマティスの一枚の絵「青とバラ色のテーブルクロス上のキズイセン」から、そのものの価値と所有について少し考えてみました。
わたしは70年代にイブ・サンローランの幾何学的なデザインと色彩に、強い刺激を受けたものです。古くはクリスチャン・ディオールのデザイン的な危機を救ったことは特に有名でしたが、ELLEやVOUGE誌を席巻した当時のサンローランの美意識とマティスのそれがあまりに酷似していることに気がつくのは随分とのちのことでした。わたしがデザインの世界に傾斜したのはこのサンローランの白いAラインのドレスに描かれた青や黄色の鮮やかなグラフィックだったのかもしれないと思っています。つまりはこうしたマティスやサンローラン共通の美意識が、次の価値を生み出すための資源だったと思います。
わたしはこうしたモノ(美術品というだけではなく、美意識も含みます)は、守り手が必要な明確な社会の資本つまり価値なのだと思っています。社会にももちろん企業の中にもこうした資産があるはずです。それは一時的に社会から預かった公共財だとも考えます。それを明確にすることや伝えるために企業の活動があるともいえます。
社会的に意義のある事業には、そうした資本は集まりまた使命を次代に引き渡すように、その価値はやがて社会に還元することになるものだと考えます。つまりひとところに永久にとどまらないというのが資源つまり価値とその所有ではないでしょうか。しかしその価値を社会に戻すか、または大きな所有に変えていくかが企業に問われているのかもしれません。
No.00209/03/03
Creative Director 山田 徹 Yamada Tetsu 株式会社グローブコンペティション代表取締役
最近(2008年4月)事務所を郊外に移転しました。そこは趣味のラリーマシン製造のために田舎に所有していた鎮守の森の前にある自動車工場を大改造して制作。本来デザイナーの腕としては自信がある?ものの今回は「原則として廃材や貰い物で、作る。図面は引かない!行き当たりばったりで作る」というコンセプト。友人の世界的建築家の有馬裕之氏も「・・・・」と大納得?の新オフィスで、いまだ未完成の部分をどうしようかと悩んでいるようです。その有馬氏は、ここにリエゾンオフィスを置こうかと思案中とのこと。特に表に向けて閉鎖的、裏に向けて開放的!!?な事務所。来る人を阻み、来た人を快適に、が特徴だそう。
1階はベランダ部分が主な打ち合わせスペースですが、目の前はすぐ鬱蒼とした森。ベランダからはすぐに小径があり、鎮守の森の散歩が出来ます。またこの森は特に小鳥が多く、午前中は素晴らしい鳥の鳴き声で至福の時間が得られます。椅子は本人がコレクターだというだけあって、ものすごくたくさんあります。今度はデザイナーや建築家と林業関係者らとのコラボレーションで「木の椅子」を展開するプロジェクトも進んでいます。さらにはツリーハウス・プロジェクトは、都市と中山間の交流促進と、ただの遊び場ほしさの提案が進んでいます。さらに四国八十八カ所にならった?小さな山の中のトレイルを作ろうと考えているようです。
基本的には読書が趣味ですが、1年のうちの半分近くを旅と読書で過ごしています。クリエイティヴディレクター、コピーライター。時々イラストも描きます。環境問題は25年前から積極的だったのですが「最近はヒステリックな温暖化原理主義はいかがか?」と思案中。環境に特化した地域のフリーマガジンを計画中!なのですが、「環境問題はなにが問題なのか」みたいな切り口ではじめたいらしいので、しばらくしたらこのウェブサイトでも事後報告が出来るかもしれません。どうぞこれからもよろしくお願いします。
09/03/03
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