「高級感や先進性より大事なのは・・・」
NIKKEI DESIGN 5月号の特集は「不況を越えて変わる!求められるデザイン」思わず「やるね!」とうなるタイトル。不況は終わりかけ!のシグナルのようでもあります。たしかに世界経済は、間もなく開催される世銀IMF定期総会で昨年11月と4月に行われたのG20の、誓約の実行が確認されるや緩やかな回復基調に転じることでしょう。マスコミもこぞって「底を打った」などと報じ始めるのは間違いありません。
そうなればしめたもの「ああ良かった。これで売れ始める。」なんてことには、なかなかならないだろう、と考えています。「不況を越えて」消費マインドがどのように変わったか、なにを求めなにを排していくのか?じっくり考察してみる必要があります。
そもそもこの不況の元凶はアメリカの市場原理主義であることに異論はありません。サブプライムローンは、一時的にはアメリカに好況をもたらせましたが、(そのツケの被害は全世界的なものに拡大します)そして最先端金融技術つまり現代の錬金術で生み出した、実体の無い巨大モンスターともいえる巨額マネーは、出口を求めたバックドラフトのように原油市場になだれ込みました。そうするとみるみる石油の価格は吊り上り、世界を大混乱に陥れました。
しかしこのことはある意味新しい価値観を生み出しました。笛吹けど踊らなかった温暖化対策など環境問題にリンクして行くのです。それは実に分かりやすいもの、ガソリン高い→燃費の良い車に→思いがけず環境に貢献する。というもの。明快です。
アメリカのビッグスリーら大型の燃費の悪い車しか作れないメーカーは、自らの国の生み出した市場原理主義の被害者のようなものです。その恩恵も被害も等しいのでしょうが。つまり新しい価値とは、変革を急激なものとせざるを得なくなったという点です。
もう景気が回復しても、1年前の消費マインドに戻ることはありません。市民は「高級感・先進性への要求が後退する」とNIKKEI DESIGNはレポートしています。そして調査の結果を次のようにまとめています。
「どの製品においても高級感と先進的なイメージを選ぶ消費者は極めて少数だった。この顕著な傾向は注目に値する。(中略)では、デザイン上重要な要素はなにか。製品自体の経済性を見極め、その上で使いやすさや収納性、作業の低減、ゴミの削減といった観点でデザインを評価している。(さらに中略)消費者がプロダクトデザインと向き合う時間が長くなるということだ。一目で分かる高級感や先進性を追及するのではなく、自分の使うシーンを思い浮かべながら、良し悪しや好感を判断するにはそれなりの時間が必要だからだ。そうした意味でデザインへの投資効率は後退していない。」つまりは「デザインのコミュニケーション力が問われる」と結んでいます。
まあこれはDESIGN専門誌ですから、このような切り方で異論はありません。というか良く作りこんでいます。そして今の自動車の売れ方などは、見事にこうしたものを体現していると見て良いでしょう。
いずれポスト世界不況に新しい地図が描かれていくことでしょう。もう不況時の低価格路線だけでは成長曲線は描けません。新しい価値が求められ始められるからです。もちろん低価格も大きな価値であることは変わりませんが。
ユニクロがジル・サンダーと契約しました。ジル・サンダーは「わたしのこれまでの服の100分の1の価格なの。でも新しいチャレンジよ。」と語っていましたから、少し安心しています。分かっているのですね。ポスト不況の成長戦略は、その実わかりやすいものかもしれません。コンセプトは、「明快」なことなのでしょう。
No.025 09/04/27
Creative Director
山田 徹 Yamada Tetsu 株式会社グローブコンペティション代表取締役
最近(2008年4月)事務所を郊外に移転しました。そこは趣味のラリーマシン製造のために田舎に所有していた鎮守の森の前にある自動車工場を大改造して制作。本来デザイナーの腕としては自信がある?ものの今回は「原則として廃材や貰い物で、作る。図面は引かない!行き当たりばったりで作る」というコンセプト。友人の世界的建築家の有馬裕之氏も「・・・・」と大納得?の新オフィスで、いまだ未完成の部分をどうしようかと悩んでいるようです。その有馬氏は、ここにリエゾンオフィスを置こうかと思案中とのこと。特に表に向けて閉鎖的、裏に向けて開放的!!?な事務所。来る人を阻み、来た人を快適に、が特徴だそう。
1階はベランダ部分が主な打ち合わせスペースですが、目の前はすぐ鬱蒼とした森。ベランダからはすぐに小径があり、鎮守の森の散歩が出来ます。またこの森は特に小鳥が多く、午前中は素晴らしい鳥の鳴き声で至福の時間が得られます。椅子は本人がコレクターだというだけあって、ものすごくたくさんあります。今度はデザイナーや建築家と林業関係者らとのコラボレーションで「木の椅子」を展開するプロジェクトも進んでいます。さらにはツリーハウス・プロジェクトは、都市と中山間の交流促進と、ただの遊び場ほしさの提案が進んでいます。さらに四国八十八カ所にならった?小さな山の中のトレイルを作ろうと考えているようです。
基本的には読書が趣味ですが、1年のうちの半分近くを旅と読書で過ごしています。クリエイティヴディレクター、コピーライター。時々イラストも描きます。環境問題は25年前から積極的だったのですが「最近はヒステリックな温暖化原理主義はいかがか?」と思案中。環境に特化した地域のフリーマガジンを計画中!なのですが、「環境問題はなにが問題なのか」みたいな切り口ではじめたいらしいので、しばらくしたらこのウェブサイトでも事後報告が出来るかもしれません。どうぞこれからもよろしくお願いします。
09/03/03