「最後の資源、水」
私たちのような仕事をしていると過去にも最近にも「水」に関するマーケティングの話が何度か出てきます。「どのようにすれば売れるでしょうか?」という安易な問いには、「無理です。」「難しいです。」とお断りすることばかり。それはなにが無理なのかというと、ローカルの水を市場に持ち込み成果を得ること。つまりビジネスとして成立させることへの難しさと言っていいでしょう。相談してくる方の中には、どこかへのルートがありませんか?という微妙なオハナシ。良くお付き合いをさせていただいた大手石油元売の広報部長は、「いやあ、ボクタチの売っている油なんて、水より安いんですよ。」その通りです。税金を抜くと1リットル50円ばかり。ミネラルウォーターの半額にも満たないのです。
私は昨年の9月から10月にかけて、天津から西安、そしてシルクロードを辿って彷徨える湖ロプノールへ。そしてカザフスタンに入ってアラル海へたどり着きました。旅は過酷を極めつつボルガ川やカスピ海、黒海、エーゲ海、アドリア海。イスタンブールやギリシャを巡り、最後は意気揚々とローマまでユーラシア大陸の横断をしました。
私は探検家でも冒険家でもありません。今の時代望めば誰にでもそういうことが可能です。しかし生命のリスクはあります。その旅の中で最も大切だったものは何かというとやはり水です。
そして一番感じたことは何かというと、価値の源泉は「水」にあると言う事実です。
ご存知のようにスヴェン・ヘディンが発見したロプノールは、水を失うことによってシルクロードに繁栄したひとつの古代都市国家は消滅します。20世紀になって急速に縮小を続けたアラル海は、地球の近未来の姿をさらしています。中国の国内は水が足りません。水を失うということは、つまり生命を失うと言うことです。
ご存知のように地球の表面の71%は水です。しかし淡水はその3%にすぎません。私どもが問う「水」とはここでは淡水のことを言います。そのたかだか3%の水ですが、21世紀半ばにはこの水を巡る争いが激化するような気がします。
先日同じような「水をどうしたら売れるか」というお問い合わせに、私はひとつの提案をしました。
「あの、スーパーやコンビニで売っているフランスやアメリカ産の水は、やがて入らなくなってきます。世界的な水不足に加え温暖化の問題が深刻になっている今、水を大量輸送するという時代は終わります。フランスの水はアフリカを救うために使うべきです。水こそ地産地消の時代が来ます。来なければそういう運動をしましょう。1リッターの水を得るために使うエネルギーコストマイレッジを計算するべきです。すると地域の小売店の店頭は、地域の水に占拠される日が来ます。それは環境対策なのです。」
なにか特別な価値観を作り出し、高付加価値なブランディング!!なんて唱えてきた身には、お恥ずかしい転身ブリデスガ、ポスト不況のマーケティングは、こうしたものかもしれません。
最後に、やはり21世紀地球最後の資源は「水」です。エコポイントは、地域のミネラルウォーターにも付けたらいかがでしょう。
No.031 09/05/18
Creative Director
山田 徹 Yamada Tetsu 株式会社グローブコンペティション代表取締役
最近(2008年4月)事務所を郊外に移転しました。そこは趣味のラリーマシン製造のために田舎に所有していた鎮守の森の前にある自動車工場を大改造して制作。本来デザイナーの腕としては自信がある?ものの今回は「原則として廃材や貰い物で、作る。図面は引かない!行き当たりばったりで作る」というコンセプト。友人の世界的建築家の有馬裕之氏も「・・・・」と大納得?の新オフィスで、いまだ未完成の部分をどうしようかと悩んでいるようです。その有馬氏は、ここにリエゾンオフィスを置こうかと思案中とのこと。特に表に向けて閉鎖的、裏に向けて開放的!!?な事務所。来る人を阻み、来た人を快適に、が特徴だそう。
1階はベランダ部分が主な打ち合わせスペースですが、目の前はすぐ鬱蒼とした森。ベランダからはすぐに小径があり、鎮守の森の散歩が出来ます。またこの森は特に小鳥が多く、午前中は素晴らしい鳥の鳴き声で至福の時間が得られます。椅子は本人がコレクターだというだけあって、ものすごくたくさんあります。今度はデザイナーや建築家と林業関係者らとのコラボレーションで「木の椅子」を展開するプロジェクトも進んでいます。さらにはツリーハウス・プロジェクトは、都市と中山間の交流促進と、ただの遊び場ほしさの提案が進んでいます。さらに四国八十八カ所にならった?小さな山の中のトレイルを作ろうと考えているようです。
基本的には読書が趣味ですが、1年のうちの半分近くを旅と読書で過ごしています。クリエイティヴディレクター、コピーライター。時々イラストも描きます。環境問題は25年前から積極的だったのですが「最近はヒステリックな温暖化原理主義はいかがか?」と思案中。環境に特化した地域のフリーマガジンを計画中!なのですが、「環境問題はなにが問題なのか」みたいな切り口ではじめたいらしいので、しばらくしたらこのウェブサイトでも事後報告が出来るかもしれません。どうぞこれからもよろしくお願いします。
09/03/03